着物を脱いだ後は、まず2時間ほど陰干しを。「1回しか着てないから大丈夫」と思っても、内側にはたっぷり汗と湿気が染み込んでいます。放置すると、半年〜1年後に黄ばみとして現れます。
すぐに着る予定がなければ、専門のクリーニングへ。特に正絹の着物・帯・襦袢はプロのお手入れがおすすめ。化繊の着物・浴衣なら、専用ネットを使えば家庭でも洗えます。
創業56年・国家資格クリーニング師のファミリークリーニング二代目店主が、着物を脱いだ後のケア、クリーニングのタイミング、家庭洗濯の手順、プロが使う「ラップの芯」裏技、たとう紙保管まで完全ガイドします。
着物を脱いだ後、まずやるべき3つのこと
家に帰って着物を脱いだ瞬間が、お手入れのいちばん大切なタイミングです。この30分の使い方で、来年の着物の状態が決まります。
2時間ほど陰干し
着物用ハンガーにかけて、風通しのいい場所で2時間ほど陰干し。汗と湿気をしっかり飛ばします。直射日光は色あせの原因になるので避けてください。
内側のしっとり感をチェック
脱いだ時、内側がしっとりしていたら汗をかいている証拠。「あ、これは汗をしっかり吸ってるな」と感じたら、長めに陰干しを。
畳んでしまう、または出す
すぐ着る予定があるなら畳んで保管。2〜3ヶ月使わない予定なら、専門のクリーニングへ出すのがおすすめです。
浴衣の下に「タオル」を仕込む
夏のお祭りで浴衣を着る前に、腰の部分にタオルを薄く折って入れておくと、汗を吸ってくれて浴衣がベタつきにくくなります。
💡 ポイント:お祭りで動いたり踊ったりすると、想像以上に汗をかきます。タオルが間に入っていれば、汗が直接浴衣に染みるのを和らげてくれます。一度試したら、意外と暑くないことに驚きますよ。
「1回しか着てない」は危険信号
「1回しか着てないから大丈夫」「クリーニングはもったいない」——この思い込みが、半年〜1年後の悲劇を招きます。
🎐 着物に蓄積する「見えない汗」
着物の下には長襦袢、裾よけ、肌着と何枚も重ねて着ています。一見、汗は着物まで届かないように見えますが、実際は体温で湿気が抜けて、着物の繊維にまで届いています。
さらに、帯の中にも芯が入っていて、結構な量の汗を吸ってくれているんです。お客様が「いやー、暑かったけど浴衣そんなに濡れてない」とおっしゃっても、帯と着物が汗を引き受けてくれているケースが多いです。
白い帯・薄い色の着物は特に要注意
濃い色の帯や着物だと、汗じみは目立ちにくいかもしれません。でも白い帯や薄い色の着物だと、しばらく置いておくと汗じみで黄変してきて、使えなくなってしまうことも。
⚠️ 「シミ取り代」のほうが高くつく
「クリーニング代を節約したつもり」が、1年後のシミ取り代でかえって高くついた……というケースが本当に多いんです。大切な着物ほど、シーズン中の早めのクリーニングが結果的にお得です。
関連:衣類の黄ばみは諦めないで|プロの染み抜き実例と予防法もご参照ください。
クリーニングに出すタイミング
「いつ出せばいい?」というご質問、本当によくいただきます。判断の目安です。
🎯 すぐ出した方がいい
・2〜3ヶ月着る予定がないとき
・明らかにシミ・汚れがついた時
・高級な正絹の着物(リスク回避)
・大切な思い出の一着(成人式・結婚式等)
・長期保管(衣替え・シーズン終わり)の前
💡 家保管でもOK
・1〜2週間以内にまた着る予定がある
・2時間以上しっかり陰干しした
・気になる汚れがない
・湿度の低い場所に保管できる
・化繊・洗える着物(後述の家庭洗濯参照)
気になるところがあれば、まずお気軽にご相談ください。LINEで写真を送っていただければ、状態を見てから判断材料をお伝えします。
着物と一緒に「これも」出すべきもの
着物だけ出して、帯や襦袢を家に置いておく方が多いですが、セットで考えた方が結果的にお得です。
🎀 セットで出すべき
着物本体:汗・皮脂・湿気のリセット
帯:中の芯が汗を吸い込んでいるため
正絹の長襦袢:縮みリスクが高く家庭洗濯NG
帯締め・帯揚げ:汚れチェック+整え
🏠 家でお手入れ可能
化繊の襦袢:洗濯ネットに入れて家庭洗濯OK
洗える着物(ポリエステル等):後述の手順で家庭洗濯OK
肌着・足袋:基本は家庭洗濯
腰ひも・伊達締め:汚れがなければ手洗い・陰干し
⚠️ 正絹(しょうけん)は要注意
「正絹」=シルク100%の着物・襦袢・帯は、水で縮むリスクが大きい素材です。家庭洗濯するとサイズが小さくなって着られなくなることも。正絹かどうか分からない場合は、まずプロにご相談ください。
化繊の着物・浴衣の家庭洗濯ガイド
ポリエステル等の化繊の着物・浴衣・洗える襦袢は、ポイントを押さえれば家庭でも洗えます。
必要なもの
- 着物用洗濯ネット(40センチ角程度の大きめのもの)
- おしゃれ着用中性洗剤(エマール、アクロン等)
- 着物用ハンガー(袖が長い専用ハンガー)
洗い方の流れ
⭕ 家庭洗濯のポイント
- 素材タグで「家庭洗濯可」を必ず確認
- 着物用ネットに畳んで入れる(本格的なたたみ方でなくOK)
- 洗濯機なら「手洗いコース」or「ドライコース」
- おしゃれ着用中性洗剤を使用
- 脱水は30秒〜1分の短時間
- 取り出したらすぐ着物用ハンガーで干す
- 陰干しで型崩れを防ぐ
🚫 これは避けたい
- 標準コース・通常脱水(縮み・シワ定着の原因)
- 40度以上のお湯(変色・縮みリスク)
- 漂白剤の使用(色落ち)
- 乾燥機の使用(縮み・型崩れ)
- 直射日光の天日干し(色あせ)
- 濡れたまま長時間放置(カビ・ニオイ)
- 正絹を水で洗うこと(致命的)
たたみ方のコツ
ネットに入れる時のたたみ方は、本格的な仕舞いのたたみ方とは違って、もっと簡単でOKです。ネットのサイズに合わせて、長方形になるように適当に畳んで入れれば大丈夫。きちんと畳まないと、と気構える必要はありません。
着物の正しい干し方と「ラップの芯」裏技
洗濯後の干し方が、着物の型を保つ上でとても大切です。
着物用ハンガーが基本
袖が長く、着物の袖を綺麗にのばせる着物専用ハンガーを使うのがいちばんです。シワも伸びやすく、乾きも早くなります。
着物用ハンガーがない場合
家にない場合は、突っ張り棒などで代用できます。クローゼットの上の突っ張り棒に着物の身ごろを通して、袖を伸ばすように工夫すれば、なんとかなります。
長着の「袖下」にラップの芯を入れる
長着(裾の長い着物)を干す時、袖下の部分にラップの芯やキッチンペーパーの芯を入れると、ピンと張った状態をキープできます。袖が垂れて型崩れするのを防げる、和装の専門家ならではの裏技です。
- ラップの芯(またはキッチンペーパーの芯)を用意
- 長着を着物用ハンガーにかけた状態で、袖裾のあたりに芯を差し込む
- これだけで、形が崩れずきれいに乾く
※キッチンペーパーの芯だと丸すぎる場合は、ラップの芯のほうが形が安定します。
着物クリーニングの料金・納期目安
💰 料金について
着物のクリーニング料金は、素材(正絹/化繊/絞り)・状態・サイズ・帯のセット有無によって大きく変動します。詳しくは料金表ページをご参照いただくか、お電話(093-471-3190)・店頭・全国宅配にてお気軽にお見積りをご相談ください。
📦 納期目安:約2〜4週間(着物は特殊技術のためお時間をいただきます)
👘 セット預かりが断然お得:着物・帯・襦袢・帯締め・帯揚げのセットでお預かりすると、トータルでお得になることが多いです。
📸 LINE 写真見積り対応:状態が分かれば、おおよその金額をお伝えできます。LINEでお気軽にどうぞ。
💬 着物の写真を送るだけ、LINEで気軽に相談
「これってクリーニング必要?」「料金の目安が知りたい」「いつ出せばいい?」など、LINEで着物の写真を送っていただければ、状態を確認してお見積り・アドバイスをお伝えします。
▶ LINEで相談する着物の正しい保管方法 3ステップ
クリーニング後、次に着るまで美しい状態を保つための保管方法です。
たとう紙に納める
畳んだ着物はたとう紙(和服専用の和紙)に納めます。湿気を吸い、シワ予防にもなる伝統的な保管法です。
除湿剤+防虫剤
たとう紙の上下に除湿剤と防虫剤を配置。月1回交換目安で、湿気とシミ虫から着物を守ります。
年に一度の虫干し
春か秋の乾燥した日に、たとう紙ごと風通しの良い日陰に数時間吊るします。湿気を完全に飛ばします。
関連:クリーニングのビニールカバーはすぐ外して|プロが教える理由もご参照ください。ビニールカバーをつけたまま保管すると湿気がこもります。
よくあるご質問
着物は一度しか着ていなくてもクリーニングが必要ですか?
2〜3ヶ月着る予定がないならクリーニングがおすすめです。「1回しか着てない」は安心材料ではなく、目に見えない汗・湿気が着物と帯にしっかり染み込んでいます。放置すると半年〜1年後に黄ばみ・カビとして現れます。
着物を脱いだ後、まず何をすればいいですか?
家に帰ったら、まず着物用ハンガーにかけて2時間ほど陰干しします。汗と湿気を飛ばすためです。脱いだ時に内側がしっとりしていたら汗をしっかり吸っている証拠なので、長めに陰干しを。すぐ着る予定がなければ、クリーニングへ。
化繊の着物・浴衣は家庭で洗えますか?
はい、家庭洗濯可能です。40センチ角程度の着物用洗濯ネットに畳んで入れて、おしゃれ着用中性洗剤+手洗いコース+短時間脱水+陰干しがポイント。たたみ方は、本格的な仕舞いのたたみ方でなくて大丈夫です。
帯もクリーニングに出した方がいい?
はい、特に白い帯・薄い色の帯はクリーニングをおすすめします。帯の中には芯が入っていて、着物以上に汗を吸っているケースが多いです。放置すると黄変リスクが大きいので、着物とセットで出すのが基本です。
襦袢のお手入れはどうすればいい?
素材によります。化繊・絹混の襦袢は家庭洗濯可能(ネット使用)。正絹の襦袢は水で縮むリスクが大きいので、必ずプロのクリーニングへ。「正絹かどうか分からない」場合は、まずご相談ください。
着物用ハンガーがない時はどうすればいい?
突っ張り棒で代用できます。クローゼットの突っ張り棒に着物の身ごろを通して、袖を伸ばすように工夫してください。完璧でなくても、何もしないよりはずっといいです。
着物クリーニングの料金はいくらですか?
素材・状態・サイズ・セット有無によって変動します。料金表ページまたはお電話(093-471-3190)でご確認ください。LINE で写真を送っていただければ、状態を見ておおよその目安をお伝えできます。お見積りは無料です。
着物の保管はビニールカバーのままで大丈夫?
いいえ、クリーニング店のビニールカバーは必ず外してください。湿気がこもってカビ・ニオイの原因になります。着物はたとう紙(和服専用の和紙)に納めて、除湿剤・防虫剤と一緒に保管するのが基本です。
🎀 「大切な一着」シリーズ
ブランド・素材・季節別の丁寧なケアガイド。長く愛用する一着のために。
- ジェラートピケのクリーニング|プロのふわふわケアと料金目安(第1弾)
- 浴衣のクリーニングで来年の汗黄ばみ予防|プロの糊仕上げ(第2弾)
- 法被(ハッピ)のクリーニング|お祭りの汗・食べこぼしをプロが洗浄(第3弾)
- (本記事)着物のお手入れと保管|プロが教える家庭ケアの裏技(第4弾)
- (今後公開予定)カシミヤ・シルク・ダウン
まとめ|思い出の一着を、これからも美しく
📌 今日のポイント
- 着物を脱いだら2時間ほど陰干し(内側のしっとり感をチェック)
- 「1回しか着てない」は安心材料にならない(目に見えない汗が染み込み)
- 2〜3ヶ月使わないならクリーニングへ(放置=シミ取り代で高くつく)
- 着物と一緒に帯・正絹襦袢もセットで(白い帯は特に黄変リスク)
- 化繊なら家庭洗濯OK(着物用ネット+手洗いコース+短時間脱水)
- 裏技:浴衣の下にタオル/長着の袖下にラップの芯で型崩れ防止
- 保管はたとう紙+除湿剤+虫干し(ビニールカバーは外す)
成人式、結婚式、お祭り、卒業式、同窓会——思い出の場面で袖を通した着物は、これからも大切な節目で活躍する一着です。
「いつかまた着るかもしれない一着」を、いつでもキレイに着られる状態でキープしておきましょう。今日ご紹介したポイントを押さえれば、5年後・10年後もきっと美しい姿で迎えてくれます。
気になる着物のお手入れや保管について、いつでもお気軽にご相談ください。北九州・小倉南区の店舗、全国宅配クリーニング、LINEでお待ちしています。
(文:ファミリークリーニング 二代目店主 神林)


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