夏のスーツと、汗の話 ── ドライクリーニングの先にあるお手入れ

夏のウールスーツと、汗汚れのお手入れ ── 北九州・小倉南区のファミリークリーニング クリーニングブログ

「クリーニングに出しているのに、なんとなくスーツが疲れて見える」「夏のスラックス、ハンガーにかけても匂いが取れない」── そんなお声を、毎年この時期に多くいただきます。

原因の多くは、汗の蓄積です。そして、汗の汚れは、普通のドライクリーニングだけでは、なかなか落ちきれません。

今日は、夏のウールスーツやスラックスに何が起きているのか、そしてお気に入りの一着を長く着るためのお手入れを、お伝えします。

汗が、スーツをどう変えていくか

ウールは、天然繊維のなかでも特に吸湿性が高い素材です。これは長所であると同時に、夏には弱点にもなります。1日着用したスーツやスラックスには、思っている以上の汗が染み込んでいます。

汗の主成分は、水分・塩分・尿素・タンパク質。これらが繊維の内部に残ったまま時間が経つと、次のようなことが起こります。

1

酸化による黄ばみ・変色

残った汗の成分は、空気と反応して酸化し、黄ばみや変色の原因になります。襟元や脇に少しずつ現れてくる黄ばみは、ほとんどが汗の蓄積です。

2

雑菌の繁殖と、独特の臭い

汗のタンパク質を栄養に、雑菌が繁殖します。クローゼットから出した瞬間に「あの臭い」を感じるのは、これが原因です。

3

繊維そのものの劣化と、型崩れ

汗の塩分は、ウール繊維を内部から傷めます。結果として、生地のハリが失われ、シルエットが崩れていきます。

4

虫食いの原因にも

汗の成分は、衣類害虫(イガ・カツオブシムシなど)を呼び寄せる引き金になります。「クローゼットにきちんとしまっていたのに、穴が空いていた」というご相談の多くが、汗の残りが原因です。

見た目では分かりにくくても、夏のスーツの内部では、確実に汚れが進行しています。

なぜ、ドライクリーニングだけでは落ちきれないのか

ここに、もうひとつのポイントがあります。

クリーニング店で行う「ドライクリーニング」は、その名のとおり水を使わない洗浄です。専用の有機溶剤(石油系・パークロロエチレンなど)で衣類を洗います。

この方法は、油性の汚れには非常に強いのですが、水溶性の汚れ ── つまり汗や飲み物のシミ ── には、十分には届きません

整理すると、次のようになります。

ドライクリーニングが得意な汚れ:油性 ── 皮脂、食べこぼし、機械油など

ドライクリーニングが苦手な汚れ:水溶性 ── 汗、飲み物のシミ(コーヒー、ジュース)、果汁など

夏のスーツに溜まる汚れは、その大部分が汗 ── つまり水溶性の汚れです。普通のクリーニングを繰り返していても、繊維の奥に残った汗は、少しずつ蓄積していきます。

これが、ドライクリーニングを何度かけても「なんとなくくたびれて見える」「臭う気がする」スーツの正体です。

お気に入りのスーツを、長く着るための「ウエット水洗いコース」

当店では、汗汚れに対応するためのコース「ウエット水洗いコース」をご用意しています。ドライクリーニングに、水を使った洗浄を組み合わせた、ふたつの工程の合わせ技です。

① ドライクリーニング

専用の有機溶剤で、皮脂や食べこぼしなどの油性の汚れを取り除きます。

② ウエット水洗い

続けて、水を使った洗浄で、汗や飲み物のシミなど水溶性の汚れを流します。普通のドライクリーニングでは届かなかった汚れに直接アプローチできます。

この2工程をセットで行うのが、当店の「ウエット水洗いコース」(別名:ダブルクリーニング)です。

料金は、通常のドライクリーニングコースの2倍になります。ふたつの工程を一着に丁寧に行うため、その分の手間と時間がかかります。とはいえ、お預けは年に1〜2回のリセットとして考えていただければ、一着の寿命を延ばすことを考えても、長い目で見て大切なお手入れになると思っております。

特に、夏終わりや衣替え前にお預けいただくと、汗の蓄積を残さず冬支度に入れます。

水洗いだけのご相談も、承ります

原則としてドライクリーニングとのセットですが、生地への負担をできるだけ減らしたい一着については、水洗いだけでお預かりすることもあります。

その場合は、襟や袖口など油汚れがたまりやすい部分は、別途、手作業で丁寧に部分処理を行ってから、全体の水洗いに入ります。

デリケートな素材、装飾の多い衣類など ── お預け前にお写真でご相談いただければ、その一着にとって最適なコースをお見立ていたします。

※ ただし、あまりに古い衣類につきましては、水洗いをお受けできない場合があります。状態を拝見してご判断させていただきます。

お預けいただくタイミングの目安

ウエット水洗いコースは、目安として以下のようなタイミングでのお預けがおすすめです。

1

夏のシーズン中(7〜8月)

連続して着用したスーツは、その都度のリセットでも長持ちします。汗をかいた直後ほど、汚れは落ちやすいです。

2

夏終わり〜衣替え前(9〜10月)

もっともおすすめのタイミング。冬服にしまう前に汗をしっかり抜くと、来夏まで気持ちよく保管できます。虫食い予防にもなります。

3

気になったとき

「最近、なんとなく」と感じたら、それがお預けどき。お写真でのご相談からでも結構です。

大切な一着を、長く

スーツやスラックスは、お一人おひとりの仕事や人生の節目に寄り添う、大切な一着です。

普通のドライクリーニングでは届かない汗汚れに、一度しっかりと向き合うこと。それだけで、一着の寿命は何年も延びます。

「最近スーツが疲れて見える気がする」と感じられたら、ぜひ一度ご相談ください。状態を見て、その一着にとって最適なお手入れをお見立ていたします。

気になる一着、ございませんか

スーツの汗汚れ、においが気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。お写真を送っていただければ、おすすめのお手入れをお伝えできます。

LINEで相談する

📞 093-471-3190(水・祝日休み)
お持ち込みも歓迎いたします

コメント