今回お預かりしたのは、浄土真宗のお坊さんがお使いの帽子「僧帽(そうぼう)」です。光沢のある生地で、つけ根の角にほころびができていました。
法要などで身につける大切なものだからこそ、目立たず、また安心して使える状態に。ほころびのお直しの事例をご紹介します。

※お客様の大切なお品物のため、写真は色味を変えて掲載しています。
「僧帽」とは
僧帽は、その名のとおりお坊さんがかぶる帽子・頭巾のことです。宗派や使う場面によって、形や呼び名はさまざまです。今回お預かりしたのは、浄土真宗で使われている僧帽です。
ふだん着る服とちがい、お寺に長く受け継がれていたり、法衣とそろえて仕立てられていたりと、代わりのききにくい一点ものであることが多いのも特徴です。
お預かりしたときの状態
帽子の頭にあたる部分と、本体がつながるつけ根の角がほつれて、小さな穴があいていました。

裏返してみると、裏地も同じ場所が裂けていました。表と裏の両方が、同じところで傷んでいた状態です。

なぜ「つけ根の角」がほころびやすいのか
ほころびができやすいのは、生地と生地を縫い合わせたつけ根や角です。
- 力が一か所に集まる:かぶったり、たたんだり、広げたりするたびに、縫い目のつけ根が引っぱられます。角は力の逃げ場が少なく、少しずつ糸や生地に負担がたまります
- すべりやすい生地:光沢のあるなめらかな生地は、糸どうしがすべりやすく、縫い目のきわから糸がずれて、すき間やほつれになりやすい性質があります
- 表と裏は同じところが傷む:表地と裏地には同じ場所に同じ力がかかるので、片方がほころぶと、もう片方も近くで傷んでいることがよくあります
小さなほつれのうちは、まだ目立ちません。でも、そのまま使うと、引っぱられるたびにすき間が広がり、穴が大きくなってしまいます。
お直しのあと
表地・裏地のほころびをお直ししました。裂けていた裏地も、元の形に整っています。

表地のつけ根の角も整いました。写真の白い糸は、お直しした場所がわかるように付けた目印です。


きちんとたたんだ状態で、また安心してお使いいただけます。
長く使うためのヒント
- ほつれは小さいうちに:糸が1〜2本出てきた段階でご相談いただくと、目立たないお直しがしやすくなります。出ている糸は引っぱらず、そのままお持ちください
- たたむときは、つけ根を引っぱらない:同じ折り目・同じ角に力がかかり続けないよう、やさしく扱うのがおすすめです
- 湿気の少ないところにしまう:使う時期が限られるものほど、しまっている時間が長くなります。ときどき出して風を通してください
法衣やお着物のように代わりのききにくいものは、クリーニングだけでなく、ほころびや小さな傷みのお直しもご相談ください。
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