クローゼットから久しぶりに出したお気に入りのウールのコート。 「さあ、今年も着よう」と袖を通そうとした瞬間、目を疑うような光景が…。
生地の表面が小さく削れていたり、ポッカリと穴が開いていたりしませんか? 「ちゃんとしまっておいたはずなのに!」 「一度しか着ていないのに!」
そのショック、痛いほど分かります。実は当店にも、毎年この時期になると「虫食い」の相談が急増します。 今日は、なぜ虫はあなたの大切な服だけを狙うのか?そして、諦める前に知ってほしい**「プロの修復技術」**について徹底解説します。
1. 犯人は「空飛ぶ蛾」ではない?
「防虫剤を入れておいたのに!」という声をよく聞きます。 実は、服を食べる犯人は、ヒラヒラ飛んでいる「衣類害虫(蛾)」の成虫ではありません。その**「幼虫」**です。
彼らは暗くて、暖かくて、湿気のある場所が大好き。つまり、クローゼットの中は彼らにとって天国なのです。 そして彼らの主食は、ウールやカシミヤに含まれる**「動物性タンパク質」。 化学繊維(ポリエステルなど)には見向きもしないのに、なぜか一番高いコートばかり穴が開くのは、彼らが「本物の素材」を見分けるグルメ**だからなのです。
2. 「一度しか着ていない」が命取り
「そんなに汚れていないから、洗わずにしまった」 実はこれが、虫食いを引き起こす最大の原因です。
虫の幼虫は、ウール素材そのものも好きですが、それ以上に**「タンパク質の汚れ」**が大好物です。
- 気づかないうちに飛んだ食べこぼし
- 首元や袖口についた皮脂・汗
- 雨や泥の跳ね返り
これらは、虫にとっての「ソース」や「ドレッシング」のようなもの。 目に見えない汚れがついている部分を、彼らは集中的に狙って食べます。その結果、画像のような「虫なめ(表面だけ食べる)」や「貫通(穴が開く)」が起きるのです。
3. 諦めないで!その穴、ふさがります
虫食いによる穴
ウール素材のコートに発生した虫食い穴です。生地の繊維が完全に欠損し、目立つ穴が開いてしまっています。
特殊技術による補修後
コート内に隠れた糸を掘り起こす特殊技術で修復。至近距離で見てもほとんど分からない状態まで復元しました。
「もう着られない」と諦める前にご相談ください。
虫食い、ひっかけ傷、タバコの焦げ穴など。当店では洗うだけでなく、高度な特殊補修(かけはぎ等)技術で、大切なお洋服の「困った」を解決します。(かけつぎは提携の専門店に依頼します)
※素材や穴の大きさによって仕上がりや料金は異なります。まずは状態をお見せください。
「穴が開いたらもう捨てるしかない…」 そう思うのはまだ早いです。実は、クリーニングのプロの技術で、その穴を目立たなく修復する方法があります。
【特殊修理:かけつぎ(かけはぎ)】 これは、魔法のような職人技です。 コートの裾やポケットの内側など、見えない部分から「共布(同じ繊維)」を取り出し、穴が開いた部分に一本一本、顕微鏡レベルの細かさで織り込んでいく技術です。
【簡易修理・接着修理】 かけつぎほど高額な費用をかけずとも、見えない細い糸で周りから寄せていくかがり修理をし、繊維を馴染ませることで「パッと見では分からないレベル」まで修復する方法もあります。 ※今回の画像のような「虫なめ(表面のハゲ)」であれば、コートの隠れた毛を掘り起こし調整するだけで目立たなくなるケースもあります。かがり修理と掘り起こしのコンボやかけつぎなどその状況に合わせてご提案させていただきます。
どのレベルの修理が必要かは、穴の大きさや場所によって変わりますが、**「捨てようと思っていた服が、また一軍で着られるようになった」**と、多くのお客様に感動していただいています。
4. 虫食いを二度と起こさない「鉄則」
修理で綺麗になっても、また食べられては意味がありません。 来シーズン、悲劇を繰り返さないための鉄則はたった一つ。
「しまう前に、必ず『しまい洗い』をする」
これに尽きます。 どんなに短時間しか着ていなくても、目に見えない皮脂やホコリは必ずついています。 プロのクリーニングで汚れ(虫のエサ)を完全に除去し、防虫加工を施してから保管する。これこそが、最強の防虫対策です。
おわりに
お気に入りのコートに穴を見つけたら、まずはファミリークリーニングにご相談ください。 「もうダメかも」と諦める前に、プロの診断を受けてみませんか?
私たちは、汚れを落とすだけでなく、傷ついたお洋服を蘇らせる「服の病院」でもあります。 あなたの思い出が詰まった一着、私たちが全力で救済します。


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