朝晩の冷え込みとともに、そろそろ出番が近づくコート類。クローゼットから出してみたら「なんだか押し入れっぽいにおいがする…」「えり元がうっすら黒い?」なんて経験、ありませんか?
去年しまったままの一着を、今シーズンも気持ちよく羽織れるように。今月のお手入れコーナーは、コートの「初洗い」のすすめです。北九州市小倉南区でクリーニング店を営む、クリーニング師の神林章二がお伝えします。
結論:半年しまったコートは「着る前に一度」点検を
- におい・ほこりが気になるだけ → 半日ほどの陰干しとブラッシングで軽くなることがあります
- えり・袖口の黒ずみやシミがある、または去年クリーニングに出さずにしまった → 着る前の「初洗い(クリーニング)」がおすすめです
- タイミングの目安は、今シーズン初めて着る日の1〜2週間前。寒くなってから慌てずに済みます

半年しまったコート、なぜ「着る前の初洗い」がいいの?
コートをしまうのは3〜4月ごろ、次に出すのは10〜11月ごろ。つまり、コートは1年のうち約半年をクローゼットの中で過ごしています。この半年の間に、見た目では分からない変化が進んでいることがあります。
理由① 見えない汗・皮脂が、黄ばみとにおいに変わる
コートは肌に直接ふれないように見えて、えり元や袖口には首や手首の皮脂が毎日少しずつ付いています。皮脂は空気にふれると時間をかけて酸化し、黄ばみやにおいの一因になります。しかも、時間がたつほど落ちにくくなる傾向があります。「しまった時はきれいに見えたのに」というのは、このためです。
理由② 梅雨〜夏の湿気で、カビが育ちやすい
カビは湿度70%以上・気温20〜30℃くらいの環境で活発になるといわれています。北九州の梅雨から夏にかけては、ちょうどこの条件がそろいやすい季節。空気が動きにくいクローゼットの奥は、なおさらです。汚れ(皮脂や食べこぼし)はカビの栄養にもなります。
理由③ 衣類を食べる虫は「汚れた場所」を好む
ウールやカシミヤなど動物の毛でできた生地は、衣類を食べる虫の幼虫に狙われることがあります。特に食べこぼしや皮脂が付いた部分を好む傾向があり、虫食いの小さな穴は、着て出かけた先で初めて気づくことも少なくありません。
しまった時の状態別・着る前にやること
| しまう前の状態 | 着る前にやること |
|---|---|
| クリーニング後、袋を外して保管 | 半日ほど陰干し+ブラッシングで多くの場合は十分 |
| クリーニング後、ビニール袋をかけたまま保管 | 袋を外して半日〜1日陰干し。においや変色が残ればご相談を |
| クリーニングに出さずに保管 | 着る前の初洗い(クリーニング)がおすすめ |
| シミ・黒ずみ・小さな穴に気づいた | 自分でこすらず、そのままの状態で早めにご相談を |
ちなみに、クリーニング店の薄いビニール袋は「持ち帰るまでのホコリよけ」です。かけたまましまうと湿気がこもりやすいので、お家に着いたら外すのがおすすめですよ。
着る前に家でできることは?5つのチェック
クリーニングに出す前に、まずはお家でできることから。どれも10〜15分あればできることばかりです。

① 半日〜1日、風通しのよい日陰に吊るす
クローゼットのこもったにおいは、風に当てるだけで軽くなることがあります。直射日光に長く当てると色あせの原因になるので、ベランダの日陰や、窓を開けた部屋の中がおすすめです。
② 洋服ブラシで、上から下へほこりを落とす
肩から裾へ、生地の流れに沿ってブラシをかけます。生地の奥に入り込んだほこりが浮き上がり、毛並みもふっくら戻ります。ほこりは虫やカビのエサにもなるので、ひと手間の効果は意外と大きいですよ。
③ えり・袖口・ポケットを明るい場所で確かめる
チェックするのは、えり裏の黒ずみ、袖口のテカリ、前身ごろの小さなシミ、そして虫食いの穴。ポケットの中のティッシュやレシートも、この機会に出しておきましょう。洗った時にティッシュが崩れて、全体に白いくずが付いてしまうことがあります。
④ 肩に合った、厚みのあるハンガーに掛け替える
針金ハンガーのような細いものだと、コートの重みで肩先にポコッと跡がつくことがあります。コートは肩のラインに沿った、厚みのあるハンガーが安心です。
⑤ 洗濯表示で「家で洗えるか」を確認する
えり裏や脇の縫い目にあるタグを見てみましょう。桶のマークに手が入った絵なら、家で手洗いできることがあります。桶に「×」がついていたら、家では洗わないのが無難です。ウールやカシミヤのコートは、この「×」がついているものが多いですよ。
OK:着る前にやりたいこと
- 日陰で半日〜1日、風に当てる
- 洋服ブラシで上から下へほこりを落とす
- 肩に合った厚みのあるハンガーに掛ける
- シミや黒ずみは、写真を撮ってからプロに相談する
NG:やりがちだけど避けたいこと
- 直射日光に何時間も当てる(色あせの原因に)
- 消臭スプレーでにおいを隠すだけで済ませる(汚れは残ったまま)
- シミをおしぼりや濡れタオルでゴシゴシこする(輪ジミや毛羽立ちの原因に)
- 洗濯表示を見ずに洗濯機で丸洗いする(縮み・型くずれの原因に)
家でのお手入れとクリーニング、どちらを選べばいい?
「全部クリーニングに出すと家計がちょっと…」という気持ち、よく分かります。お家でできることと、プロに任せたほうがいいことを並べてみました。
| 比べるポイント | 家でのお手入れ | クリーニング(初洗い) |
|---|---|---|
| かかる手間 | 陰干し・ブラッシングなら15分ほど。手洗いすると乾くまで1〜2日 | お店に持ち込むだけ(遠方は宅配も) |
| 落とせる汚れ | 表面のほこり、軽いにおい | えり・袖口の皮脂汚れ、汗、食べこぼしのシミ |
| 形くずれ・縮み | 洗濯機で洗うと縮みや形くずれのおそれ | 形を保ったまま乾かすので、シルエットが戻りやすい |
| 費用 | 洗剤代のみ | 1着ごとの料金(写真を送ればお見積りできます) |
| 向いているコート | 去年クリーニング済みで、汚れが見当たらないもの | クリーニングせずにしまったもの、シミ・黒ずみがあるもの、ウール・カシミヤ |
去年きちんとクリーニングしてからしまったコートなら、お家での陰干しとブラッシングで十分なことも多いです。「出さずにしまった」「えり元が気になる」という一着だけを選んでプロに任せる。それだけでも、今シーズンの着心地がずいぶん変わりますよ。
プロの初洗いは何が違うの?

こんにちは、神林章二です。ファミリークリーニングは1970年から、北九州市小倉南区でクリーニングを続けてきました。私たちがコートの初洗いで大切にしているのは、次の3つです。
回さずに、形を保ったまま乾かす「静止立体乾燥」
コートは、乾燥機の中でぐるぐる回すと、生地がこすれて毛羽立ったり、肩や胸の立体的な形がくずれたりすることがあります。そこで私たちは、人が着ている形に近い状態で吊るしたまま、動かさずに乾かしています。肩のライン、えりの返り、裾の落ち感を保ったまま仕上げるためです。
1日にお預かりするのは60点まで
私たちは、1日の受付を60点までと決めています。理由はシンプルで、一着ずつポケットの中身、ボタンのゆるみ、裏地のほつれ、小さなシミまで確かめる時間を取るためです。たくさん受ければ売上は増えますが、そのぶん一着にかけられる目が減ってしまう。それは私たちのやり方ではないと考えています。
シミは、あきらめる前にご相談を
クリーニング師の国家資格を持ち、京都の染み抜き技術を学ぶ「京技術修染会」の一員として、時間がたった黄ばみやシミにも向き合っています。汚れの状態によっては落としきれない場合もありますが、どこまで落とせそうかは、写真を見てお伝えできます。
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「このコート、家で大丈夫?」迷ったら写真を送るだけ
えり元・袖口・シミの写真をLINEで送っていただくだけで、無料でご相談・お見積りができます。北九州市小倉南区のお店への持ち込みはもちろん、遠方の方は全国対応の宅配でも承っています。
コートの初洗い よくあるご質問
Q. コートは毎年クリーニングに出したほうがいいですか?
A. 一冬着たコートは、しまう前に一度クリーニングしておくのがひとつの目安です。えり元や袖口には見えない皮脂が付いていて、半年ほどの保管中に黄ばみやにおいの一因になることがあります。出さずにしまった場合は、今シーズン着る前の初洗いがおすすめです。
Q. 去年クリーニングしてからしまったコートも、初洗いが必要ですか?
A. 汚れやにおいが見当たらなければ、半日ほどの陰干しとブラッシングで十分なことが多いです。ビニール袋をかけたまま保管していた場合や、においや変色が気になる場合はご相談ください。
Q. においが気になるだけなら、消臭スプレーで大丈夫ですか?
A. 消臭スプレーはにおいを一時的に抑えるもので、原因になっている皮脂や汗の汚れは残ったままです。陰干しをしてもにおいが戻る場合は、汚れが残っているサインのことがあります。
Q. 家で洗えるコートかどうか、どう見分ければいいですか?
A. えり裏や脇の縫い目にある洗濯表示を確認してください。桶のマークに手が入った絵なら家で手洗いできることがあり、桶に「×」がついていれば家では洗わないのが無難です。ウールやカシミヤのコートは「×」のものが多い傾向があります。
Q. 北九州市以外に住んでいても頼めますか?
A. はい、全国対応の宅配クリーニングで承っています。まずはLINEでコートの写真を送っていただければ、無料でご相談・お見積りができます。



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